【FPのしごと】セミナー講師は儲かるの?

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マネーセミナーにFPが講師として登壇するのを目にしますよね。
FPの仕事的にセミナー講師は儲かるのか?どんな位置づけなのか?
私が考える「セミナー講師のしごと」をご紹介します。

目次

研修とセミナー

セミナーとタイトルがつくものの中に「研修」があります。
「セミナー講師」と「研修講師」は方向性が違います。
大きな違いは参加者の主体性があるかどうかです。
分かりやすく言うと「参加者本人が参加したくて来ているかどうか」です。

研修は会社や組織からすすめられたり、強制参加だったりします。
そして会社や組織がもつ「課題を解決するために研修を行う」といった目的があります。
なので、研修終了後は参加者が課題解決に必要な知識やスキルを得ていることがゴールになり、依頼主のオーダーに応えるものになります。
研修は会社や組織といった限られた方を対象にして非公開で行うことが多いです。

セミナーは、参加者自身の意思で参加したくて来ています。
参加者の目的は研修と同じように課題解決だったり、情報収集だったり、興味本位で気づきを得るためだったり多彩です。
セミナーのゴールは必ずしも課題解決とは限りません。
逆に「もっと知りたい」と思っていただくことを目的とした場合が多いです。
セミナーの依頼主が決めたゴールに沿うことが、セミナー講師のミッションになります。
このようなセミナーは広くオープンに参加者を募集していることが多いです。

研修セミナー
参加者の主体性主体性なし主体性あり
セミナーの目的課題解決課題解決
情報収集
気づき など
追加のアクションなし(研修で完結)セミナーで完結しない場合が多い

公開セミナーと非公開セミナー

セミナーには公開しているものと非公開のものがあります。

公開セミナー ・・参加者に制限を設けないで広く募集するセミナー
非公開セミナー・・限定された方のみを対象に行うセミナー

非公開セミナーの代表的なものは「研修」と「既存客向けセミナー」です。
FPが研修として行く非公開セミナーの代表的なものに「企業研修」や、すでに商品やサービスを購入していただいたお客様・会員向けに行う「マネーセミナー」があります。

企業研修の例
・企業年金制度の投資教育
・新入社員研修
・定年が近い方向けのリタイアメント研修
・住宅や不動産会社の営業向け 税制などを解説する研修 など

既存客向けマネーセミナーの例
・ハウスメーカーや工務店の既存客のフォローアップとして年末調整・確定申告の概要説明
・コミュニティ向けのイベントとして資産形成の情報提供 など

公開セミナーの主催者

公開セミナーを開催するにあたっては、まずは主催者がいます。
主催者は大きく分けて2つです。

・FP自身が主催者となって独自開催する場合
・外部主催者から依頼される場合

外部主催者は、下記のような方が考えられます
・金融機関
・保険会社
・証券会社
・ハウスメーカーや工務店
・不動産会社
・医療・介護施設
・新聞社
・行政機関(福祉協議会、公民館、図書館など)
・FP協会など

公開セミナーの目的


公開セミナーを開催するには、会場を確保したり、集客をしたりといったコストがかかります。
そのようなコストをかけても公開セミナーを開催したい「目的」があるわけです。

商品(サービス)販売

保険や投資信託といった金融商品、住宅を購入してもらうために、マネーセミナーを開催することはとても多いです。
商品(サービス)販売目的の場合は、商品販売の資格を持つFPが商品のPRをすることもあります。
また商品を購入するための動機付けを、FP的な見地としてお話することもあります。

例:
がん治療にかかる費用と医療制度の紹介 → がん保険の販売
住宅購入にかかるお金とお得な制度の紹介 → 住宅販売

個別相談誘致

商品(サービス)販売の前に、ワンクッションおいて個別相談に来てもらうためにセミナーを行う場合もあります。
私のようなコンサル専門のFPは、個別相談自体が主サービスなので
「個別相談に来てもらうこと=サービスの販売」
となるかもしれません。

情報提供

純粋に消費者や市民が「知りたいこと」にお応えするのが目的でセミナーを開催する場合もあります。
おもに行政や公共施設で行われるセミナーは、商品(サービス)販売はNGなので、目的は純粋に「情報提供」になります。

顧客サービス

既存客へのサービスの一環としてマネーセミナーを行う場合もあります。
投資信託を購入してくれたお客様に、運用状況や市況についての情報提供を行い、顧客満足度を高めるマネーセミナーもよく開催されています。
もしかしたら追加購入してくれるかも・・といった商品販売目的も少しはあるかもしれません(^^;
また、金融商品と関係のない業者でも、お客様の知りたいニーズにお応えするためにマネーセミナーを開催する場合もあります。
新聞社・新聞販売店、料理教室、自動車販売店などでマネーセミナーを行われるのを時々目にします。

知名度向上

まずは存在を知ってもらうために、世のみなさんが関心のある「お金」をフックにしてマネーセミナーを開催する場合もあります。
FPも自主開催をする場合は商品・サービス販売の前に「知名度向上」の意味合いが強いと思います。

気になる報酬は?

基本的に講座の報酬は「参加者の人数」と「講座の難易度」をベースに考えられます。

研修講師の報酬

研修講師の報酬はさらにその方の「スキルや実績」「知名度」が加味されます。
講師によって、1~2時間程度の研修で数万円から数十万円と大きく幅があります。
著書を出していたり、テレビに出演している著名人では100万円を超える方も多々いらっしゃいます。
自治体や公共施設が主催する研修は報酬規程があることも多く、その場合はその規定によります。

セミナー講師の報酬

自主開催の場合に報酬はありません。

外部から依頼を受けた場合のFP講師料は気になるところですね。
聴講者の人数や、講座の難易度により、1講座数万円~数十万円と言われています。
こちらも研修講師と同様に知名度の高い講師はそれなりに高額報酬です。

しかし「ノーギャラ」の場合もけっこうあるのです。
商品販売や個別相談誘致目的の場合は、成果報酬となっている場合が多く、成果が得られないとノーギャラになってしまう場合もあるのです。

セミナー資料の作成

「セミナーのスライドや資料は講師FPが作っている」と思われていますが、講師が作っていない場合もあるのです。
保険会社や証券会社が商品目的のセミナーを開催する場合は、保険会社や証券会社が予め作成したスライドや資料があり、話す内容がある程度決まっているものもあります。
それを講師FPが独自の知見を交えてアレンジして話す、といった具合です。

セミナーのスライドを作るところから講師が用意する場合は本当に大変です。
講師料〇万円というのは、話している時間だけでなくてスライドなどの資料作成代も入っています。
「1時間話をするだけで〇万円なんてお得だね」と思われがちですが、そこまでにかかる時間やコストは計り知れないです。
エビデンスとなる資料や、スライドに使用する画像や写真を集めたり、場合によっては有料の資料や画像・写真を購入する場合もあります。

講師をするFPとしての感想

私も知名度も経験もほとんどなかった最初の頃は、ノーギャラでセミナー講師をしていたことがあります。
バックエンド商品を販売するため、フロント商品であるセミナー自体はノーギャラ、といったケースも経験しました。
価値ある情報提供をするために、FP自身が有料セミナーや交流会などに参加したり、書籍などの購入といった間接的なコストもかかっていますので、セミナー自体にも価値があります。
経験を積んでくるとノーギャラはちょっと・・という気持ちに変化しました。
ただし金融教育や地域の課題解決といったボランティアのセミナーはノーギャラで行っています。
ボランティアのセミナーは公共団体主催のことも多く、私自身の信条としてお受けしたい気持ちが強いです。

私自身は、セミナー後に受ける質問タイムが欲しくてセミナーをやっている節があります。

・セミナーを理解いただけたかどうかのフィードバックとして捉えられる
・参加者のニーズや反応を想定してセミナーを作っているので、答え合わせになる
・一般の方はどういったところが気になっているのかのリサーチ
・今後のセミナーへのネタになる

セミナー資料を作成するのは大変ですが、すみずみまで調べてプレゼンテーションを作成するため情報が正確になり、アウトプットをすることで記憶の定着につながります。
統計データから表やグラフ作成するこもありITスキルも向上します。

私はセミナー講師専業ではなく、個別相談やWeb発信もやっています。
それぞれに相乗効果があるので、セミナー講師も大事な仕事のひとつです。

セミナー講師専業をめざす場合、有料講座の数をこなすか報酬額をあげるための努力が必要です。
Web発信や著書で知名度をあげるなど。

セミナー講師は数時間で単価の高い仕事をしているようですが、見えないところで努力やコストがかかっています。
セミナー自体はノーギャラのケースも多々あり、儲かるか儲からないかはその人自身によるところが大きいのがセミナー講師の実情です。

資格の大原
資格の大原

この記事を書いた人

FPあちこのアバター FPあちこ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

浜松市の独立系ファイナンシャルプランナー

保険や投資信託などの金融商品の販売はしないコンサル専業FPです。
住宅購入の際、長年税理士事務所に勤めていながら知識がないことにショックを受ける。
そんな時にFP資格に出会い、もっと知りたい!と思っているうちに独立系FPになっていました。
税理士事務所・行政書士事務所・保険代理店・金融機関での実務経験を活かした実践的コンサルをしています。

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