民間の「介護の保険」は必要? ~ データから考える介護 ~

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少子高齢化が進み「介護」の問題が意識されています。
そのような中で民間の保険会社の商品「介護に備える保険」が大変増えてきました。
お客様からもお問い合わせの多い「民間の介護の保険は必要なのか?」について、令和5年版高齢化白書のデータをもとに考えていきたいと思います。

目次

高齢化の推移

日本の総人口は、2022年(令和4年)10月1日現在、1億2,495万人です。
そのうち65歳以上人口は、3,624万人で、総人口に占める割合は約3割です。「高齢化率が3割」と言えます。
65歳以上人口のうち男性1,573万人、女性2,051万人で、男性対女性の比は約3対4です。
2070年には高齢化率が4割になると推計されています。

令和5年版高齢社会白書をもとに筆者が作成

65歳以上の死因

65歳以上の死因を見ると、悪性新生物、心疾患が以前より多く、近年では肺炎や脳血管疾患を超えて老衰の割合が増えてきました。
老衰で亡くなるに至るまでに、介護が必要であったか、介護が必要でなかったのか、ということが気になります。

令和5年版高齢社会白書をもとに筆者が作成

要介護認定者はどのくらい?

要介護認定者は高齢者の増加と共に増え続けています。
特別養護老人ホームの入居条件である「要介護3以上」は、要介護認定者のうち約35%です。

令和5年版高齢社会白書をもとに筆者が作成

65~74歳のうち介護が必要な人は約4%、75歳になるとぐっと増えて約32%になります。
逆を言えば65~74歳で介護が必要ない人は96%、75歳以上で介護が必要ない人は68%、ということになります。

令和5年版高齢社会白書をもとに筆者が作成

要介護とならない場合の方が多いので、必ず民間の介護保険が必要というわけではなさそうです。
特に掛け捨ての民間介護保険に多くの金額を投じてしまうと、老後資金を減らすことになってしまいます。
介護が必要でない場合、今度は老後資金が不足してしまうという問題が生じてしまいます。

65歳以上の一人暮らし

2020年(令和2年)時点の65歳以上のうち男性の15%、女性の22%が一人暮らしをしています。

令和5年版高齢社会白書をもとに筆者が作成

まとめ

65歳以上の死因は、悪性新生物・心疾患が多く、近年では老衰も増加しています。
その老衰に至るまでに介護が必要であったのか気になる所ですが、65歳以上の多くの方が要介護認定となるわけではありません。
介護が必要な人は、データを見ると65~74歳では約4%、75歳以上では約32%です。
逆を言うと介護が必要でない人の方が多数を占めています。
要介護とならない場合の方が多いので、必ず民間の介護保険が必要というわけではなさそうです。
特に掛け捨ての民間介護保険に多くの金額を投じてしまうと、老後資金を減らすことになってしまいます。
介護が必要でない場合、今度は老後資金が不足してしまうという問題が生じてしまいます。

要介護認定者のうち要介護3以上(特別養護老人ホームの入居要件)は約35%です。
要支援から要介護2の方は基本的に特別養護老人ホームに入居できないので、誰かに介護を頼まないといけないことになります。
65歳以上のうち男性の15%、女性の22%が一人暮らしをしていますので「頼める同居人がいない」ということになります。

介護に関する不安の一つは「介護費用」ですが、特別養護老人ホームなどの公的施設に入居できれば、それほど多額の費用が必要になることはありません。
問題は公的施設に入居できない(要介護2以下)場合に「介護を頼める人がいるか」です。
「公的施設に入居できず、同居人がいない場合で、第三者に介護を依頼する場合の費用」というのが、根源的な介護費用の不安だと思います。

同居で介護を頼める人がいる場合は、民間の介護保険の必要性は低いでしょう。
介護を頼める人がいない場合、最終的にはお金で問題解決することになりますので、民間の介護保険でなくても貯蓄で備えればいいことになります。

民間の介護保険のうち、掛け捨ての保険は老後資金を減らしてしまいます。
貯蓄性の民間の介護保険は、運用効率が悪いのがデメリットですが、「介護のため」というお金の色分けができることがメリットかもしれません。

この記事を書いた人

FPあちこのアバター FPあちこ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナー
中立な立場から情報提供をしています
セミナー講師・お金のセカンドオピニオン相談が専門

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