【2024年版】セーフティ共済 かんたん解説

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節税の観点から注目されている「セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」について解説します。

目次

セーフティ共済とは

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できます。

経営セーフティ共済の特徴

ポイント1 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能

共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。
共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ないほうの金額となります。

ポイント2 取引先が倒産後、借入れできる

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、借り入れることができます。

ポイント3 掛金を損金、または必要経費に算入できる

掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。
また、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。

※白色申告の方も必要経費になります

ポイント4 解約手当金が受けとれる

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。
自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。

加入資格

個人事業主、中小企業者とも継続して1年以上事業を継続している方が対象です。

中小企業者は、業種により制限があります。

  • 製造業、建設業、運輸業等の場合、資本金額3億円以下又は、従業員数300人以下
  • 卸売業の場合、資本金額1億円以下又は100人以下
  • サービス業の場合、資本金額5千万円以下又は、100人以下 等

個人が行う太陽光発電事業は加入対象になります。

加入できない場合
  • 医療法人、NPO法人、外国法人
  • 取引先に対して売掛債権等が発生しない業種(一般消費者を対象とする事業、金融業者不動産業者など)

掛金の額

掛金月額は5,000円から200,000円まで(5,000円刻みで設定できます)
1年間の掛金上限は240万円。
掛金総額の積立限度額は800万円です。

掛金は会社等の法人の場合は税法上の損金、個人事業の場合は事業所得の必要経費に算入できます。

掛金は増額・減額ができます。(減額には事業経営の著しい悪化等の一定の要件が必要です。)

節税について

個人事業主の場合、セーフティ共済の掛金は必要経費となるため、総所得金額等を減らすことができます。
国民健康保険料は「総所得金額等」をもとに計算しているため、セーフティ共済に拠出することで、国民健康保険料を軽減することができます。
また、「課税所得金額」も減るので所得税・住民税も軽減することができます。

小規模企業共済やiDeCo、国民年金基金では、国民健康保険料を削減することはできません。
(セーフティ共済と小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金は併用できます)

このようにセーフティ共済は、所得税・住民税に加えて国民健康保険料も軽減できることから、節税目的として使われるケースが多くありました。

それが、令和6年10月1日にセーフティ共済制度に大きな改正が入りました。

令和6年10月1日以降に共済契約を解約し、再度共済契約を締結(再加入)する場合には、解除の日から同日以降2年を経過する日までの間に支出する掛金については、損金(法人)、必要経費(個人)算入できないことになりました。

解約時の税制

セーフティ共済の解約金は、益金もしくは事業所得(雑収入)の扱いになり、課税対象です。
セーフティ共済は税の繰り延べでしかないのです。
節税という観点では、セーフティ共済の解約金を受け取り時は、赤字の時や廃業の時といった所得の少ない時を選んだ方がいいでしょう。

FP相談の現場から

小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金では、国民健康保険料を削減することはできません。
セーフティ共済は、国民健康保険料の他、所得税・住民税も軽減できますので節約効果はとても大きいといえます。
令和6年10月からは2年以内の再加入は損金計上できないことになってしまいましたので注意が必要です。
40カ月以降の解約は元本が100%戻ってきますが、益金となってしまうため、解約する時期は検討する必要があります。
年間240万円、累計800万円までの掛金の枠をどのように使っていくかも検討の必要はあります。
小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金とも併用することができますので、ぜひ組み合わせて活用してください。

この記事を書いた人

FPあちこのアバター FPあちこ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナー
中立な立場から情報提供をしています
セミナー講師・お金のセカンドオピニオン相談が専門

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