【2024年版】小規模企業共済 かんたん解説

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今回は「経営者の退職金制度」と言われる小規模企業共済について紹介します。

目次

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、中小企業の経営者や個人事業主の退職金積み立て制度です。
政府の機関である中小企業基盤整備機構が運営しており、全国で約160万人以上の加入があります。
小規模企業の個人事業主や会社役員の方が、事業をやめた後や退職後の生活の安定や事業の再建を図るための資金を準備しておくために創設されました。
(小規模企業共済法/昭和40年法律第102号)

小規模企業共済の3つのお得

小規模企業共済の特徴には3つのお得があります

  1. 掛金は全額所得控除
  2. 共済金の受取時の税優遇
  3. 低金利の貸し付け制度

掛金は全額所得控除

月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額できます。
掛金の全額を課税対象所得から控除できるため、高い節税効果があります。

最大年間84万円(7万円×12カ月)を拠出することが可能で、iDeCoや国民年金基金と別枠になります。

共済金受取時の税優遇

共済金は、退職・廃業時に受け取り可能です。満期や満額はありません。
180カ月(15年)以上掛金を払い込めば、65歳から「老齢給付」として、退職・廃業をしなくても共済金を受け取ることができます。

共済金の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能です。
一括受取りの場合は退職所得扱い、分割受取りの場合は公的年金等所得控除として、優遇税制を受けることができます。

低金利の貸し付け制度

契約者の方は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度をご利用いただけます。低金利で、即日貸付けも可能です。
例えば、2024年時点の一般貸付の金利は年利1.5%ですが、政策によって上昇する可能性はあります。

加入資格

小規模企業共済は、個人事業の事業主とその共同経営者の方、小規模企業を経営している会社等の役員の方が加入できます。

  • 常時使用する従業員数が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主及び会社の役員
  • 事業に従事する組合員が20人以下の企業組合、協業組合及び農事組合法人の役員
  • 小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者 (個人事業主1人につき2人まで)

次のような方は加入することができません

小規模企業共済に加入できない人
  • サラリーマン(例:アパート経営の事業をしているサラリーマン)
  • 事業を兼業している給与所得者(法人または個人事業主と常時雇用関係にある方)
  • 会社等の役員とみなされる方(相談役、顧問その他実質的な経営者)であっても、商業登記簿謄本に役員登記されていない方
  • 独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する「中小企業退職金共済制度」「建設業退職金共済制度」「清酒製造業退職金共済制度」「林業退職金共済制度」(以下、中退共等)の被共済者
  • 生命保険外務員
  • 配偶者等の専業従事者・従業員(ただし、共同経営者の要件をすべて満たせば、「個人事業主の共同経営者」として加入できます)
  • 小規模企業者に該当する個人事業主であるほかに、小規模企業者に該当しない事業の兼業や役員をしている方
  • 学業を本業とする全日制高校生等

共済サポートnaviより
https://kyosai-web.smrj.go.jp/skyosai/entry/index_02.html#a-freelance

共済金受取時の注意点

共済金受取の際、共済金の請求理由によって受け取る金額が変わります。

例:毎月1万円を20年間拠出した場合(掛金総額2,400,000万円)

上記の共済金の種類は、請求事由によって決まります。
例えば、個人事業主の場合は下記のような請求事由となっています。

共済金の種類請求事由備考
共済金A個人事業を廃業した場合複数の事業を営んでいる場合は、すべての事業を廃止したことが条件です
共済金B老齢給付65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方が対象です
準共済金個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなった場合
解約手当金任意解約共済契約者による任意の解約です
機構解約掛金を12か月以上滞納した場合に、中小機構が行う解約です
個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合

共済サポートnaviより
https://kyosai-web.smrj.go.jp/customer/skyosai/claim/index.html

もらえる共済金の額は下記のサイトでシミュレーションができます。

共済サポートnaviより


メリット

  • 小規模企業共済加入の年齢制限はない
  • 年間最大84万円の所得控除(退職後や老後の貯蓄に対して節税がされる)
  • iDeCoや国民年金基金と併用が可能
    例)個人事業主の場合
      小規模企業共済 840,000円+iDeCo 816,000円 = 1,656,000円/年
  • 180カ月(15年)以上掛金を納付すれば、廃業や退職をしなくても65歳から老齢給付(共済事由B)がもらえる。
  • 毎月掛金を払っていても、それ以外に一括納付(前納)が可能。一括納付のみも可能。
     所得が多くなりそうな場合に、一括納付をするということができる。
     (12月前半に期限があるので確認が必要です)

デメリット

  • 任意解約の場合は元本割れの可能性
  • iDeCoに比べると、運用利回りは高くない
  • 他の退職金制度も合わせて効果的な税優遇を受けるためには、タイミングに気を付けないといけない(出口戦略が必要)
  • 年金受取にすると他の公的年金と合わせて所得が増えるため、健康保険料や税金も増える。

FP相談の現場から

小規模企業共済は、経営者は必ずと言っていいほどみなさん加入している退職金制度です。
小規模企業共済は、掛金は全額所得控除で最大84万円(年額)と大きく、iDeCoや国民年金基金とも併用が可能なため、とても大きな節税効果があります。
途中で規模が大きくなって加入要件を満たさなくなっても、最初に入ってしまえばそのまま継続することが可能です。
退職する頃には数千万円といった金額になっていることもめずらしくありません。
多額の退職金をもらうことはうれしいのですが、出口戦略に気を付けないと最大の税優遇を受けることができません。FP相談でも出口戦略シミュレーションを承ることが多い案件です。
退職給付は15年の掛金納付期間が必要ですので、何をおいてもすぐに小規模企業共済に加入することをおすすめします。

この記事を書いた人

FPあちこのアバター FPあちこ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナー
中立な立場から情報提供をしています
セミナー講師・お金のセカンドオピニオン相談が専門

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