令和の時代に60歳で完全リタイアする方はほんどいません。
2016に発売されべストセラーになった「LIFE SHIFT」では、寿命が延びたことにより学び直しながら働き続けるというスタイルが将来的に浸透するというものでしたが、もうその時代が到来していることを実感します。
老後の資産形成制度としてスタートしたiDeCoですが、60歳からiDeCoを活用することのメリットや注意点を解説します。
(令和7年1月14日更新)
iDeCoとは?
iDeCoは、公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金など)とは別の自分でつくる私的年金で、加入は任意です。
国民全員が受給する老齢基礎年金が1階、サラリーマンが受給する老齢厚生年金が2階、iDeCoは3階と言われています。
iDeCoの特徴は拠出時・運用時・給付時のそれぞれに節税効果があります。

拠出額が全額所得控除
生命保険料控除は、どんなに保険料を支払っても最高で所得税12万円、住民税7万円が上限です。
いっぽうiDeCoは、所得税・住民税ともに拠出した全額が所得控除となります。
令和7年税制改正によりiDeCoの掛金上限額が引き上げられました。

運用益は非課税
iDeCoは自分で金融商品を選択して運用を行います。
商品は元本保証の預貯金、元本保証のない投資信託やコモデティなどラインナップは幅広くあります。
通常ですと金融商品の運用益(分配金や売却益など)に対して20.315%の税金が引かれます。
iDeCoに関しては非課税(20.315%の税金が引かれない)です。
受け取り時にも優遇税制が適用される
iDeCoは一時金で受け取る・年金(分割)で受け取る・一時金と年金の併用で受け取るの選択が可能です。
そして受け取り時の課税について、税制が優遇されています。
一時金受け取り | 退職金扱い | 退職所得控除が使える |
年金(分割)受取り | 公的年金扱い | 公的年金控除が使える |
iDeCoの加入年齢
iDeCoに加入できる年齢は、基本的に1号被保険者は60歳、サラリーマンは65歳が条件でした(下図)
令和7年の税制改正で70歳まで引き上げられることが決まっています(時期未定)

iDeCo改正で50歳後半で加入でもメリットがでるようになった
iDeCoは基本的に60歳になるまでに10年の加入期間が必要です。
10年に満たない場合は、受け取り時期が後ずれしていきます。
65歳以上で初めてiDeCoに加入した方は、加入から5年を経過した日から受給ができます。
また、令和7年税制改正により70歳まで加入ができるようになりました。

60歳以降のiDeCO加入の注意点
- 労働時間が少なくなり勤務先の社会保険に加入しなくなった方
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厚生年金保険料(国民年金保険料)を払わないのでiDeCoの加入できません。
- 勤務先の社会保険に加入しているが、年収が少なく所得税・住民税を納めないか、納めてもわずかな方
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所得控除の節税メリットが得られない
- 収入が減った中、iDeCoに拠出すると生活が回らなくなる方
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生活費の借り入れをするようになると本末転倒
- 一旦退職金をもらった方
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令和7年税制改正で、退職所得控除の重複期間に関する改正がありました。
退職金をもらってから一定期間を空けないと、iDeCoを一括受取する際に退職所得控除を満額受けられない可能性があります。

60歳以降もiDeCoに加入してメリットがある方
- ある程度年収がある(税金を納めている)
- iDeCoの掛け金を払っても生活が回る
- iDeCoの運用が芳しくなかったとしても、生活に大きな影響がない
- 加入期間が10年確保できる
- iDeCoを一括受給する際、前の退職金をもらってから10年以上経過している(退職所得控除を利用できる)
在職老齢年金も改正され支給停止額が緩和されたこともあり、60歳以降もそれまでと同じくらいのペースで働き続ける方が増えました。
60歳以降もiDeCoを続けるべきかは、他の退職金制度の兼ね合いもあり、税制の確認が必要です。